IEATとは、IEAT法概要

工業省所属で、タイ国内に工業団地や工業団地関連インフラストラクチャーを造成・整備し、総合的に運営・管理している政府関連機関が、タイ工業団地公社(IEAT; Industrial Estate Authority of Thailand)である。

IEATの基本法となるのが、1979年に制定されたタイ工業団地公社法で、IEATの目的、業務内容や工業団地に入居する事業者への恩典と条件等が定められている。

 

IEATが管理・運営する工業団地に入居する事業者には、投資委員会(BOI; Board of Investment)の投資奨励を受けなくても、工業団地内での土地所有が可能なほか、機械、設備の輸入、就労ビザや労働許可(ワークパーミット)の取得が容易になるなどの恩典が与えられる(詳細は、ビザ・ワークパーミットの項目を参照のこと)。

工業団地内には、ワンストップ・サービス・センターが設置され、複数の機関にわたる工場設立に関する各種手続きを一括で行うことができる。また、IEATフリーゾーンに入居する事業者に対しては、関税や付加価値税の免税等の税務恩典も与えられている。

 

IEATの主要事業は下記の通りである。

・工業団地の造成と開発

・民間企業との工業団地の共同開発

・工業港の開発と運営・管理

・公共施設やインフラ設備の整備および開発

・環境管理、安全管理、そして地域社会とのつながり重視

・ワンストップ・サービスで、許可・認可や恩典といったサービスの提供

 

工業団地は、開発主体別に3種類に分かれる。第1に、IEATが造成・運営・管理する工業団地で、“Industrial Estate”と呼ばれている。第2に、民間企業が造成し、IEATが運営・管理する工業団地で、これも同様に“Industrial Estate”と呼ばれている。第3が、民間企業が造成・運営・管理する工業団地で、こちらは“Industrial Park”や“Industrial Zone”、“Industrial Land”等という名称を使用している。

IEATが所有する工業団地は、15県に48ヵ所ある。そのうち、IEATが直接運営・管理を行っているものが11ヵ所、民間企業との合弁事業により運営・管理を行っているものが37ヵ所である。

 

前述のように、1979年に制定されたタイ工業団地公社法は、IEATの設立目的、工業団地の種類、設置、事業運営、恩典、禁止事項等が盛り込まれている。これまでに1991年、1996年、2007年と3回改正が行われてきた。

 

直近の2007年改正は、投資家が事業運営をこれまで以上に効率的に運営できるよう、また世界貿易機関(WTO)の協定に準ずることを目的としており、2008年から施行されている。

2007年タイ工業団地公社法の改正点としては、

・工業団地内を、「一般工業区」(GIZ; General Industrial Zone、以下「一般ゾーン」)と「自由事業区」(IEAT Free Zone、以下「IEATフリーゾーン」)に分ける。IEATフリーゾーンは、改正前は輸出加工区(EPZ; Export Processing Zone)と呼ばれていたが、WTOの協定に基づいて100%の輸出は義務付けられなくなった

・一般ゾーンでサービス業の運営が可能となり、そのサービス業の事業者が土地を所有することが可能になった

・IEATフリーゾーンにおける事業者が、更なる税制上の恩典を受けられるようになった

・IEATフリーゾーンにおいて、事業運営の円滑化を図るために様々な手続きの簡素化が図られた

・工業団地の設立および土地の分譲が円滑に実施できるように、手続きの簡素化が図られた

となっている。

上記の2番目のサービス業に関しては、外国人事業法によれば、外国資本が50%を超える外資企業がタイ国内でサービス業を行うとする場合、商務省からの承認、あるいはBOIからの奨励事業として認可を受ける必要が原則としてあった。それが、9分野に限定してだが、IEATからの承認を受け、IEAT管理下の工業団地で起業すれば、サービス業を操業することが可能となった。

それら9分野とは、

・工業製品および工業製品生産用の商品の購入販売業

・輸送業(ロジスティック)およびサプライチェーン事業(倉庫サービス、輸送センター、配給所など)

・展覧会、コンベンションセンター事業

・修理、保守およびエンジニアリングサービス業

・工業関連の研究・開発事業

・通信サービス、コンピューターサービス、IT情報サービス、マルチメディアサービス、文書および娯楽メディアサービス

・健康衛星関連サービス事業(病院、保健所、健康促進センター、スポーツセンター、健康増進・回復管理センターなど)

・教育サービス事業(教育機関、研修センターなど)

・その他のサービス業

である。