旧BOI恩典
投資委員会(BOI; Board of Investment)は、投資促進法に基づき、投資奨励対象業種に対して、次のような税的・非税的恩典を与えている。
(1)税的恩典
①機械の輸入税の減免
②原材料および必要資材の輸入税の減免
③法人所得税および配当に対する税の免除
④法人所得税の50%減税
⑤輸送費、電気料金、水道料金の2倍控除
⑥インフラの設置、建設への投下資本の25%追加控除
⑦輸出向け製品の製造に使用される原材料および必要資材に対する輸入税の免除
(2)非税的恩典
①投資機会の調査を目的とする外国人の入国許可
②奨励事業に勤めるための熟練工および専門家の国内への入国許可
③土地の所有許可
④外貨の外国への送金許可
また、奨励事業に対しては、
・奨励事業を国有化しない
・奨励事業と競争する新事業を開始しない
・奨励事業の製品と類似したものの販売を独占化しない
・奨励事業の製品に価格統制をしない
ことを保証している。
一方、タイ国内を3つのエリアに区分し、プロジェクトの立地するエリアごとに税務恩典に差をつけている。
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エリア |
法人所得税 |
機械・設備輸入税*1 |
輸出向製品用原材料輸入税 |
第1ゾーン
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バンコク首都圏6県
バンコク都、サムットプラカーン、サムットサーコーン、パトムタニ、ノンタブリ、ナコンパトム |
①工業団地または奨励工業地域に立地したプロジェクトの場合、3年間免税*2
②工業団地または奨励工業地域に立地したプロジェクト以外の場合、免税なし |
①②ともに50%減税 | ①②ともに1年間免税
(延長可能) |
第2ゾーン |
首都圏周辺11県およびプーケット
サムットソンクラーム、ラッチャブリ、カンチャナブリ、スパンブリ、アントーン、アユタヤ、サラブリ、ナコンナーヨック、チャチンサオ、チョンブリ、ラヨーン*3、プーケット |
①工業団地または奨励工業地域に立地したプロジェクトの場合、5年間(経過措置により2014年12月末までの申請分は、7年間)免税*2
②工業団地または奨励工業地域に立地したプロジェクト以外の場合、3年間免税 |
①免税
②50%減税 |
①②ともに1年間免税
(延長可能) |
第3ゾーン |
(1)
クラビー、カンペンペット、コンケン、チャンタブリ、チャイナート、チュムポン、チェンライ、チェンマイ、タラン、タラート、ターク、ナンコンラーチャシマー、ナコンシータマラート、ナコンサワン、プラチュアプキリカン、プラチンブリ、パンガー、パタルン、ピチット、ピサヌローク、ペチャブリ、ペチャブーン、ムクダハン、メーホンソン、ラノーン、ロップブリ、ラムパーン、ラムプーン、ローイ、ソンクラー、サケーオ、シンブリ、スコタイ、スラタニ、ウタラディット、ウタイタニ |
①立地に関わらず、8年間免税*2
②工業団地または奨励工業地域に立地したプロジェクトの場合、 ・免税期間終了後、法人所得税を5年間50%減税 ・輸送費、電気料金、水道料金を、奨励事業の収入発生日から10年の間に2倍控除可能 ③工業団地または奨励工業地域に立地したプロジェクト以外の場合、インフラの設置、建設費の25%を、収益を生じた日から10年間に渡り、純利益から控除可能 |
免税 | 5年間免税
(延長可能) |
(2)
ガラシン、チャイヤプーム、ナコンパノム、ナラティワート、ナーン、ブリラム、パタニ、パヤオ、プレー、マハーサラカム、ヤソトン、ヤラー、ローイエット、シーサケート、サコンナコン、サトゥーン、スリン、ノンカイ、ノーングブアラムプー、アムナートジャラーン、ウボンラッチャタニー、ウドンタニー |
立地に関わらず、
・8年間免税*2 ・免税期間終了後、法人所得税を5年間50%減税 ・輸送費、電気料金、水道料金を、奨励事業の収入発生日から10年の間に2倍控除可能 ・インフラの設置、建設費の25%を、収益を生じた日から10年間に渡り、純利益から控除可能 |
免税 | 5年間免税
(延長可能) |
(出所)投資委員会(BOI)
*1輸入関税率が10%以上の場合
*2プロジェクトは投資額(土地代および運転資金を除く)が1,000万バーツ以上の場合、操業日より2年以内にISO9000またはISO14000、その他類似した国際規格を取得しなければ、免除期間が1年間減となる。
*3ラヨーン県は2014年12月申請分まで第3ゾーンと同等の恩典が付与される。(一部適用されない恩典あり)
優先産業に分類される産業には、以下の税的恩典が付与される。
・立地ゾーンに関係なく、法人所得税を8年間免除(免税額に上限あり)
・立地ゾーンに関係なく、機械の輸入税の免除
・その他の立地ゾーンに応じた恩典
特別重要かつ国益をもたらす業種に分類される産業には、以下の税的恩典が付与される。
・立地ゾーンに関係なく、法人所得税を8年間免除(免税額に上限あり)
・立地ゾーンに関係なく、機械の輸入税の免除
・その他の立地ゾーンに応じた恩典
BOIは、地方産業振興、所得格差解消を目的として、奨励の有無を問わず中部地方にある既存の工場が地方へ移転する場合には、奨励対象に認定している。
(1)認定の基準
・第1ゾーンから第2・第3ゾーンへ、または第2ゾーンから第3ゾーンへ移転すること
・工業団地、奨励工業地域へ移転すること
・BOIが奨励する業種であり、かつ、BOIが規定する規模を有すること
・既存の工場を閉鎖し、奨励証書が発給されてから2年以内に移転先で事業を開始すること
(2)恩典
・第2ゾーンへ移転する場合、法人所得税の7年間の免税
・第3ゾーンへ移転する場合、
法人所得税の8年間の免税
免税期間終了後、法人所得税を5年間50%減税
輸送費、電気料金、水道代料金を、奨励事業の収入発生日から10年の間に2倍控除可能
インフラの設置、建設費の25%を、収益を生じた日から10年間に渡り、純利益から控除可能