外国人の就労、ビザ・ワークパーミット

タイでは、外国人が「仕事」を行うためには、「就労ビザ」に加えて、外国人就労法に基づく「労働許可」(ワークパーミット)が必要となる。就労ビザは外国人がタイに滞在するために必要な許可証であり、ワークパーミットは外国人がタイで就労するために必要な許可証ということになる。

ちなみに、この「仕事」に関しては、外国人就労法に「賃金や便益を受けるかどうかにかかわらず、知識や労力を提供すること」と規定されており、報酬の受取りや雇用関係があるかどうかに限定されないことに注意が必要だ。例えば、日本からの出張者や、取引先が在タイ企業を訪問して商談をするだけでなく、ボランティア活動やインターン受け入れなど、賃金や雇用関係が発生しない場合であっても「仕事」に該当することになり、原則として期間に関係なくワークパーミットが必要とされる。

 

まず、就労ビザに関しては、「事業提携者との会議、専門的またはビジネスコンベンション・会議出席そして仕事の事前準備等のビジネス」を目的としてタイに滞在する者は、「ノンイミグラントBビザ」をタイ入国前にタイ大使館または領事館で取得しなければならない。駐在員として赴任し、タイで仕事をする場合は、当然同ビザが必要となる。滞在日数は90日以内である。

タイで正規就労する外国人の配偶者および扶養家族も、同様にタイ大使館または領事館で「ノンイミグラントOビザ」の取得が必要となる。

 

ノンイミグラントBビザを取得し、タイに入国すれば、滞在期間の90日以内に労働局あるいはバンコクにあるワンスタート・ワンストップ・インベストメントセンターに、ワークパーミットの取得申請を行う。ワンスタート・ワンストップ・インベストメントセンター(OSOS; One Start One Stop Investment Center)とは、タイへの投資に関心がある、もしくは検討・計画中の企業・投資家が、10省庁21団体の投資関連相談や情報収集を一括で行える窓口である。21団体には、投資委員会(BOI; Board of Investment)やタイ工業団地公社(IEAT; Industrial Estate Authority og Thailand)も含まれている。BOI奨励企業、大規模企業(払込資本または総資産が3,000万バーツ以上の企業)、駐在員事務所、支店等は、就労ビザと労働許可(ワークパーミット)の手続きを、OSOSに併設された事務所で申請することができる。OSOSで申請した場合、より早く許可ないし延長許可がおりる。

 

労働許可(ワークパーミット)の有効期限は原則として1年間で、最長期間は2年間までとなる。労働許可(ワークパーミット)は、許可期間が切れるまでに延長申請する必要がある。そして、ノンイミグラントBビザを取得していることが、労働許可(ワークパーミット)申請の条件となっているため、ノンイミグラントBビザと労働許可(ワークパーミット)は常に対で考慮しなくては、不法滞在、不法労働ということになりかねない。

また、一般の企業の場合、労働許可(ワークパーミット)およびノンイミグラントBビザ更新の際には、

・外国人労働者1人に対し、雇用主である企業の資本金の払い込み済み資本金が最低200万バーツ以上

・外国で設立された企業の駐在員事務所の場合は、外国人は2人まで認可

・前年度の財務諸表により、健全な財務状態にあり、かつ事業が継続できること

・外国人労働者1人につき、常勤のタイ人労働者が4人いること

などの要件が課されている。

 

ただ、BOIの投資奨励を受けている企業、およびIEAT管轄の工業団地に工場を所有している企業は、BOIやIEATを通じて申請し、提出書類も異なり、比較的容易に労働許可(ワークパーミット)の取得・延長手続ができる(詳細は、BOIおよびIEATの項目を参照のこと)。

2007年11月1日に発効された日タイ経済連携協定により、労働許可(ワークパーミット)の取得基準が一部緩和され、条件によっては許可期間、発給までの時間等で特別の措置を受けられることもある。

 

タイで就労する場合、前述したように期間に関係なく労働許可(ワークパーミット)およびノンイミグラントBビザが必要だが、特例措置として、15日間以内の就労で、必要かつ緊急な業務に限り、企業所在県の労働局またはOSOSに就労通知書と就業者本人の写真を提出することにより、就労が可能となる。「必要かつ緊急な業務」とは、具体的には以下の仕事を意味する。

 

なお、タイ政府は、タイ人の雇用確保のため、以下の39職種に関しては、外国人の就業を禁止している。