IEATフリーゾーンと一般ゾーン

工業団地内は、「一般工業区」(GIZ; General Industrial Zone、以下「一般ゾーン」)、「自由事業区」(IEAT Free Zone、以下「IEATフリーゾーン」)、そして「関税フリーゾーン」(DFZ; Duty Free Zone)の3つのエリアに分けられる。

IEATフリーゾーンとDFZはどちらも輸入税が免税となる。一般ゾーンとIEATフリーゾーンはIEATの管理下にあるが、DFZは税関の管理下にあるという違いがある。

IEATフリーゾーンは、輸出向けの生産に特化した工場のために整備された工業団地で、以前は輸出加工区(EPZ; Export Processing Zone)と呼ばれていた。

 

タイ工業団地公社(IEAT; Industrial Estate Authority of Thailand)が運営・管理する工業団地には、BOIのような奨励対象業種はなく、タイの経済発展や環境保全などといったIEATの目的に適合した企業で、工業団地の環境を阻害するものでなければ、原則として入居が認められる。

 

一般ゾーンとは、工業、サービス業、もしくは工業運営やサービス業に関係するその他の事業を行うためのエリアをいう。2007年のタイ工業団地公社法の改正により、一般ゾーンでサービス業の運営が可能となり、サービス業の事業者が土地を所有することも可能になった。

DFZも用途区分上、一般ゾーンの一部と見なされており、既設の一般ゾーンに関税局所轄の特定ゾーンとしてタックス・フリー特典が付与されたと定義される。

 

一般ゾーンにおける恩典には下記がある。

・外国資本が49%を超える場合でも工業団地内での土地所有を許可

・工業団地で働く外国人技術者・専門家とその家族の入国査証および労働許可(ワークパーミット)の取得が容易になる

・外国通貨の送金の許可

・サービス業を行うことができる

 

一方、IEATフリーゾーンとは、工業、商業もしくは工業や商業の運営に関係するその他の事業を行うためのエリアをいい、保税地区である。経済発展、国家安定、国民福祉、環境管理もしくは委員会が定めるその他の必要事項を目的として設けられた。入居する事業者には、税制面での恩典が与えられる。

IEATフリーゾーンは、以前は輸出加工区(EPZ; Export Processing Zone)と呼ばれていたが、2007年のタイ工業団地公社法の改正によって名称が変更されるとともに、世界貿易機関(WTO)の協定に基づいて輸出に関する条件が撤廃された。EPZとして発足した当初は100%輸出が義務付けられていたが、現在は輸出の義務はない。

IEATフリーゾーンに搬入される物品は、輸入税、付加価値税、物品税などの租税は全て免税となる。IEATフリーゾーンから国内に移動した場合には、移動する時点におけるその物品の形状に応じて輸入税、付加価値税、物品税などが課せられる。

IEATフリーゾーンにおける恩典には下記がある。

・製品を輸出することに関して、無条件の特権の付与

・商品の生産に使用される機械、設備、機材、原材料等に係る輸出税、輸入税、付加価値税、物品税について免除

・工場やビル建設に必要な輸入機械、器具、部品等の輸入税、付加価値税、物品税の免除

・生産もしくはサービス提供のために必要な製品、原材料を輸入する場合は、所有者の明示を求められない

・外国資本が49%を超える場合でも工業団地内での土地所有を許可

・工業団地で働く外国人技術者・専門家とその家族の入国査証および労働許可(ワークパーミット)の取得が容易になる

・外国通貨の送金の許可

・投資委員会(BOI)手数料等の免除

 

タイで製品を製造し、国外へ輸出する場合には、IEATフリーゾーン入居することで多くの恩典を享受することができる

 

IEATが運営・管理するIEATフリーゾーンとは別に、関税局が設けているフリーゾーン(DFZ)もある。DFZは、タイの輸出を支援、奨励するために関税法に基づいて設置された地域で、DFZに輸入される生産用機械・設備に係る輸入税や付加価値税、物品税が免除される。

2002年から始まったDFZは、関税局直轄のため手続きが不要で、迅速な貨物の搬出・入が可能なことから、日系企業を中心にDFZ内倉庫のニーズが高まっている。

このDFZの区分として、工業用途と商業用途に区分されているため、入居に際しては区分の事前確認が必要である。

 

DFZにおける恩典には下記がある。

・工業・商業活動または事業に使用するために必要な機械、装置、工具、部品を含む貯蔵品の取得に係る輸入税、付加価値税、物品税の免除(他のDFZからの移送を含む)

・輸出製品の製造を目的としてDFZに搬入される原材料について、規格管理や品質管理、シール・シンボル貼付等の関連する法律の制限を受けない

・DFZ内の事業者間で販売される物品には0%の税率が適用される

 

DFZへ入居するための条件は、

・原則として法人であること

・設置者から許可を受けていること

・関税法の違反を犯したことがない

ことなどがある。