BOI申請手続き、申請後の流れ

投資委員会(BOI; Board of Investment)への申請から承認までの流れは、下記のようになっている。

(1)申請書の提出

(2)審査担当官によるインタビュー

(3)委員会による案件審査

(4)認可通知とそれに対する回答

(5)奨励証書の発給

 

(1) 申請書の提出

申請書は、英語とタイ語が裏表になっているので、どちらの言語を使用してもかまわない。事前調査が終了し、事業計画が出来上がっている場合には、それを申請書に書き写せば申請書は出来上がる。

申請段階ではまだ現地法人が登記されていない場合が通常であるので、申請人は個人名となるのが一般的である。BOIの連絡は全て連絡人へいくことになるので、タイの居住者を連絡人として記載する。

申請書の提出先は、タイ国内の本部の総務部でも、地方事務所で提出してもよい。日本国内でも、東京、大阪にあるBOIの事務所へ提出することもできる。

申請書には、製造品目のカタログ、会杜概要などを添付するほか、申請書に記載しなければならない工程表を添付する必要がある。この工程表は、奨励を受けた後守ることが義務付けられているので、材料の入荷、検査から製品の検査、出荷まで過不足なく記入しなければならない。

また、機械の導入はこの工程表に必要なものが許可されるため、工程表と機械の整合性に注意が必要である(工程表で必要とされない機械の減免輸入は認められない)。

なお、環境を汚染する恐れのある事業については、「初期の環境負担調査結果報告書」を申請書と同時に提出しなければならない。

10年を超える中古機械は原則認められないが、審査により認められることもある。その場合、機械の能力証明書も投資奨励申請書と同時に提出しなければならない。

 

(2)審査担当官によるインタビュー

申請書が受理されると、直ぐにインタビューの通知が、申請書の提出者に渡されるか、申請書に記載されたタイ国内連絡先へ送付される。申請者は通知書に明記された部署に連絡、審査担当官との面談の予約をし、申請書受理から原則として 2 週間以内にインタビューを受けなければならない。

インタビューの目的は、委員会へ案件を上げるため、申請書では不十分な情報を追加入手することで、製品の詳細、製造工程など技術的なことや、申請者 (会社) の現在の事業内容など、約 2 時間ほど聴取される。申請者が十分に答えられないと考えられる場合は、技術者も同行することが望ましい。

 

(3)委員会による案件審査

審査担当官による案件の詳細レポートができあがると、委員会に提案され、審議される。 審査は、投資額により担当する委員会が次のように異なる。

 

 投資額*

担当

①     4,000万バーツ以下 BOI事務局の内部委員会
②     4,000万バーツを超5億バーツ以下 BOI事務局の小委員会
③     5億バーツ超(輸出 80%以上) BOI事務局の小委員会
④     5億バーツ超(輸出 80%未満) BOI事務局の本委員会

(出所)投資委員会(BOI)

*投資額は土地代と運転資金を除く

 

上記の内部委員会と小委員会は毎週開催され、本委員会は原則毎月1回開催される。

申請書受理から審査認可までの期間は、①②③の場合は60営業日以内、④の場合は90営業日以内と定められている。

 

(4)認可通知とそれに対する回答

委員会で認可されると、その旨文書により、連絡人に通知される。文書の内容はBOIの政策による恩典と条件がタイ語で記載されている。この通知を受け取ってから1ヵ月以内に通知書の内容に同意するかしないかの旨を回答する必要がある(様式があり、回答期限の延長可)。

通知を受け取ったら、早急に日本語または英語に翻訳して、内容を確かめ、恩典、条件が、理解しているものと異なる場合は、回答を保留し、文書で問い合わせることが可能である。

なお、認可通知書には以下の書類が添付される。

1. 認可受理の回答フォーム

2. 認可受理回答期限延長の申請フォーム

3. 奨励証書(Promotion Certificate)発給申請フォーム

4. 輸入品梱包に輸入税等減免特典を受けることを表示する荷印の通知

5. 機械輸入に関する告示(46/2534(1991年)、Por.3/2545(2002年)」およびタイで製造できる機械・設備リスト

6. 法人所得税免税の特典を使用する前の事業実績の報告の方法について(OBOI告示 Por.4/2544(2001年))

7. 電子システム(MCTS)による機械品目表承認の基準と方法(OBOI告示Por.4/2544(2001年))

8. 必要インフラ、人材に関する調査表

 

(5)奨励証書の発給

通知書に対する回答が終われば、次に正式な奨励証書を発給してもらうための申請を行う。

奨励申請は個人でも良かったが、BOIの奨励事業は法人により営まれることが条件になっているため、現地法人の責任者名義で申請することが必要となる。従って、BOIへの奨励申請と平行して、現地法人の設立事務を進めておけば、時問の節約となる。この段階では、資本金の払込みは会社法により各株式の額面の4分の1以上で足りるが、BOI認可企業の場合、操業開始までに各株式を全額払い込むことが要求されるので注意が必要である。

奨励証書発給申請は、奨励認可の引き受け回答日より180日以内に行う必要があり、奨励証書は、通常発給申請から10営業日以内に発給される。

奨励証書発給申請書に必要な書類は以下の通り。

1. 奨励証書発給申請書(BOI様式FOS・CT・21)

2. 法人登記簿謄本(登記事務所が証明した定款、株主リストを含む)

3. 法人登記証明書(上記登記簿と対になっている)

4. 増資の場合の法人登記簿謄本(もしある場合)

5.(タイ商務省の)会社株式投機事務の保証書

6. 海外からの資金送金を証明する書類(外国からの資本がある場合)

7. 合弁事業契約、技術援助契約、その他の援助契約(もしある場合)

8. 記入済み必要インフラ、人材調査票